クリニックにクレジット決済・電子マネーを導入すべきか
クリニックの保険診療をキャッシュレス化すべきかどうか、都内の歯科クリニックの記録を基に考えてみました。
結論は、社保が半数以上であれば導入すべきと考えています。また、それで患者満足度が上がるのであれば安いものだとも思います。
保険診療の場合、窓口収入は最大でも3割です。そして、社保割合が高い当該クリニックでのクレジット・電子マネー決済率は窓口収入の25%程度しかありません。結果、保険診療収入(窓口+保険者分)におけるクレジット決済手数料は、0.17~0.24%程度しかありません。
金額換算で月間保険請求点数が70万点で約12,000~16,800円程度、200万点でも34,000~48,000円程度です。
患者満足度、クレジット決済及び電子マネーが増えると両替の頻度も減ったり、また、未収金対策にもなり、経理処理も楽になります。
トータルで考えると、この程度の費用負担であればメリットのほうが大きいのではないかと判断しています。
さらに、あくまで肌感覚ですが、キャッシュレス消費者還元事業https://cashless.go.jp/に登録しているクリニックは少数と考えるため、当面は差別化要素にもなるのではないでしょうか。
以下は詳細です。
1.当該クリニックについて
港区のオフィス立地のクリニックで2019年5月~8月の社保と国保の割合は77.4%:22.6%です。
保険診療におけるクレジット決済は10年以上行っており、電子マネー決済も2019年4月中旬から始めています。
2.導入している電子マネーについて
(1)楽天ペイ
①利用可能クレジットカード:JCB、VISA、MASTER、AMEX、DINERS等、ほぼすべてのクレジットカード
②利用可能電子マネー:楽天ペイアプリ決済のみ(当該クリニックでは限定して利用)
③決済手数料
・3.24%:VISA、MASTER、AMEX、楽天ペイアプリ決済
・3.74%:JCB、DINERS、DISCOVER
(2)イオンクレジット
①利用可能クレジット:VISA、MASTER、(イオンカードのみJCB可)
※自費のボーナス払いや分割払いのみに使用
②利用可能電子マネー:楽天Edy、Suica等交通系電子マネーほぼすべて、Waon
③決済手数料
・2.6%:各種電子マネー
・2.7%:イオンカード
・2.8%:VISA、MASTER
(3)楽天ペイとイオンクレジット決済の違い
総じてイオンクレジットのほうが手数料が低くお得です。
ただ、イオンクレジットは使えるカードが限定、もしくはJCB等は楽天ペイと利率が同じで、メリットがあまりありません。
また、楽天ペイは毎日入金、イオンクレジットは15日と月末のみ入金となっており、資金繰りの状況に応じて選択するのがよいのかと考えています。
3.利用履歴について
2019年5月以降の利用履歴から比率にてまとめました。
全体として、25%弱がクレジット・電子マネー決済で、うち約20%がクレジット決済となります。
社保・国保別にみると、社保はクレジット決済が20%程度、電子マネー決済も5%程度あり、社保のほうがキャッシュレスの方が多い傾向が出ています。逆に国保のほうが現金決済の割合が高く、さらに電子マネー決済は少なくなっています。
4.推定決済手数料
月間売上が700万円~2000万円で推定で算出しました。
社保と国保の割合は77.4%:22.6%にて算出。
(ア)窓口収入=月間売上✕社保30%(国保10%)✕社保の割合(国保の割合)
(イ)クレジット収入=(ア)✕社保20.9%(国保15.2%)
(ウ)電子マネー収入=(ア)✕社保5.0%(国保1.4%)
(エ)クレジット+電子マネー収入=(イ)+(ウ)
決済手数料(min)=(エ)✕2.7%
決済手数料(max)=(エ)✕3.74%
5.その他
①JCB等決済手数料の高い会社について
JCB等の決済手数料は高いです。集計はしておりませんがJCBの利用割合が半分は大きく下回る感覚です。
よって、JCBは削っても良いのかもしれません。ただし、アメックスが同時に使えなくなる可能性があります。アメックスはビジネスマンが持っていることが多いため、自クリニックの患者層次第となるのではないでしょうか。
②決済手数料について
多少の交渉の余地はあります。代理店によると思いますので、一度は交渉しましょう。
③スタッフの手間や教育について
スマホが使えればクレジット決済や電子マネー決済は充分に対応できます。難しく考える必要はないと思います。
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